初めて子犬や子猫を迎えたとき、「ちゃんと育てられるかな」「健康面で気をつけることって何だろう?」と不安を感じる方も多いのではないでしょうか。小さな体で元気に遊ぶ姿はとても愛らしいですが、実は子犬・子猫の体はとても繊細です。見た目は元気そうでも、体の内側では感染症や体調不良が進行していることもあります。
この記事では、動物病院での健康チェックやご家庭でのケア、心の成長を支えるポイントまで、初めてペットを迎える方にも分かりやすくご紹介いたします。

子犬・子猫を迎えたらまず行うべき健康チェック
新しい家族を迎えた際は、元気そうに見えても、できるだけ早く動物病院で健康診断を受けましょう。子犬や子猫は体の機能がまだ未熟で、見た目にはわかりにくい異常が隠れていることがあります。早い段階で健康状態を確認しておくことが、安心して新しい生活を始める第一歩となります。
健康診断では、体重・体温・心拍・呼吸の確認に加え、皮膚や耳、口の中、目、関節などの全身を丁寧にチェックします。便や尿を調べることで、消化器の状態や寄生虫の有無も確認できます。
「健康診断でわかること」についてより詳しく知りたい方はこちら
〈来院時の持ち物〉
・ワクチン接種歴や駆虫の記録(健康手帳)
・食事の内容・便の状態が分かる写真など
・気になる行動や症状のメモ
保護犬・保護猫のように過去の健康状態が不明な場合には、感染症の検査や栄養状態の確認、ワクチンの計画立てなど、より丁寧なケアが必要になります。
毎日の健康チェックで異変を早期発見
動物病院での診察だけでなく、飼い主様が毎日行う観察も非常に重要です。
とくに以下のような点に注意して見てあげましょう。
・元気に遊んでいるかどうか
・ごはんをしっかり食べ、水をきちんと飲んでいるか
・排泄のリズムや状態に異変はないか
・体をかゆがったり、しきりに舐めたりしていないかどうか
こうした小さな変化が、体調不良の早期発見につながります。
また、成長期には体重の変化にも注目することが大切です。子犬・子猫は日々成長していくため、週に1回程度の体重測定をおすすめします。
ただし、成長のスピードは犬種や猫種によって異なるため、「適正な増え方かどうか」は獣医師の診察で確認するのが安心です。気になることがあれば、お気軽にご相談ください。
自宅でできるグルーミング
日々の観察に加え、定期的なケアも健康維持に欠かせません。特にグルーミングは、見た目を整えるだけでなく、体の異常に気づく大切な機会になります。
以下のようなケアを習慣にしましょう。
・ブラッシング:抜け毛を取り除きながら、皮膚に赤みや湿疹がないかも確認しましょう。
・耳のチェック:耳の中に赤みやにおいがないかを定期的に見て、必要があれば耳掃除を行いましょう。
・爪のチェック:伸びすぎていないか、歩きづらそうにしていないかを確認しましょう。自宅で難しい場合は、無理をせず動物病院に相談してください。
心の健康を育む「社会化期」の過ごし方
健康管理というと体のことばかりに目が行きがちですが、実は「心の健康」も同じくらい大切です。
〈社会化が大切な理由〉
子犬・子猫にとって、さまざまな人や音、環境に触れることは、今後の性格や行動に大きく影響します。とくに生後3週〜14週ごろは、「社会化期」と呼ばれ、吸収力が非常に高い時期とされています。この期間にどんな経験をするかが、将来の感じ方や行動に強く関係するといわれています。
〈社会化期におすすめの経験〉
社会化は、いきなり特別なトレーニングを行う必要はありません。まずは日常生活の中で、少しずつ刺激に触れる機会をつくっていくことが大切です。
たとえば、以下のような経験が社会化の第一歩になります。
・抱っこをして外の空気に触れさせる
・掃除機やチャイムなど、家庭内でよくある音に慣れさせる
・家族以外の人や、他の動物と少しずつ接する
無理のない範囲でこうした経験を積み重ねることで、日常の中での「初めて」にも落ち着いて対応できるようになっていきます。
子犬・子猫のストレスケアと心の安定
子犬・子猫は、言葉で不調を訴えることができません。だからこそ、行動の変化から気持ちを読み取ることが求められます。
以下のような様子が見られたときは、過度な刺激や環境の変化によってストレスを感じている可能性があります。
・隠れて出てこない
・食欲が落ちる
・下痢をする
・よく鳴く、落ち着きがなくなる
こうした変化に気づいたときは、無理をさせず、できるだけ静かで安心できる環境に整えてあげましょう。
〈ストレス軽減の工夫〉
・クレートやケージの中に安心して過ごせるスペースをつくる
・お気に入りのブランケットやベッドを使う
・食事や遊び、睡眠のリズムを一定にする
また、遊びやスキンシップの時間を通じてストレスを発散させることも大切です。知育おもちゃや簡単なトレーニングを取り入れ、飼い主様との信頼関係を深めながら、心の健康をサポートしていきましょう。
まとめ
子犬や子猫を迎えるということは、ただかわいがるだけではなく、その命としっかり向き合い、守る責任を持つことでもあります。健康診断や予防接種、日々の観察、家庭でのケア、そして心のサポート、どれもが、ペットの健やかな成長を支える大切な習慣です。
「これって病気かな?」「このくらいで病院に行っていいのかな?」と迷ったときこそ、早めにご相談ください。飼い主様と新しい家族が、安心して毎日を過ごせるよう、しっかりサポートいたします。
兵庫県神戸市須磨区の『おおした動物病院』
℡:078-731-0001