「最近フードの種類が多すぎて、何を選べばいいのか分からない…」「うちの子、好き嫌いが多くて食べてくれない」そんなお悩みを抱えている飼い主様も多いのではないでしょうか。
私たちと同じように、犬や猫にとっても毎日の食事は健康をつくる基盤です。どんなフードを、どのように与えるかによって、その子の体調や元気の度合いは大きく変わってきます。
この記事では、日々の診療現場でよくご相談いただく内容をもとに、フード選びのポイントと与え方のコツについて解説します。

ドライフードの特徴とメリット
ドライフードは、水分をほとんど含まない「カリカリタイプ」のフードで、多くのご家庭で利用されている主流のタイプです。
保存がしやすく、量も安定して与えられるため、日々の食事管理がしやすいというメリットがあります。
また、噛むことで歯垢の付着を軽減する効果も期待でき、口腔ケアの一環としてもおすすめです。良質なドライフードであれば、必要な栄養素がしっかり含まれており、主食として安心して取り入れられます。
ただし、水分摂取量が少なくなりがちな猫には、ウェットフードと組み合わせた「ミックスフィーディング」が効果的です。水分補給と嗜好性を両立できるため、特にシニア期や腎臓に配慮が必要な猫ちゃんにはおすすめの方法です。
ペットフードのラベルの見方
ペットフードを選ぶ際には、「ラベル表示」に注目することが大切です。ラベルに最初に記載されている原材料が最も多く含まれているため、たとえば「チキン」や「ラム」など、動物性タンパク質が上位に表示されているフードは安心です。
また、タンパク質源の「質」も重要なポイントです。「チキンミール」「動物性副産物」などの記載がある場合、原材料の内容が不明確なこともあるため注意が必要です。
さらに、保存料や着色料、人工香料といった添加物の有無にも目を向け、できるだけ自然に近いフードを選びましょう。
年齢や体格に合わせたフード選び
ペットの健康状態やライフステージによって、必要な栄養素は大きく異なります。
〈子犬・子猫の場合〉
成長期には高エネルギー・高タンパクが必要です。カルシウムやリンのバランスにも配慮されたものを選びましょう。
〈成犬・成猫の場合〉
安定期には適度なカロリーで、健康維持に必要な栄養素を過不足なく摂れるフードが理想です。
〈シニア犬・シニア猫の場合〉
加齢にともなう腎臓や心臓への負担を軽減するために、低ナトリウム・低リンで、消化に優れた成分が含まれているものを選びましょう。
また、以下のような体質や状況に応じたフードも検討しましょう。
・小型犬:噛みやすい小粒設計
・大型犬:関節ケア成分を含むタイプ
・避妊・去勢後:カロリーを抑えた体重管理フード
・アレルギー体質:特定タンパク質を除いたアレルゲン対応食
・皮膚・毛艶トラブル:オメガ3脂肪酸、ビオチン、亜鉛など配合のフード
・消化器が弱い子:プレバイオティクスや可溶性繊維を含んだ消化にやさしい設計
※フードの選定は必ず獣医師と相談し、その子に合ったものを選びましょう。
フード選びでよくある質問と回答
Q:穀物入りと穀物フリー、どちらが良いですか?
A:どちらにもメリットがあります。穀物にアレルギーがない場合は、無理に穀物フリーを選ぶ必要はありません。穀物も大切な炭水化物源であり、栄養バランスを整える役割を果たします。
Q:価格が高いフードほど良いのですか?
A:価格が品質をある程度反映する場合もありますが、高価だからといって必ずしも良いとは限りません。ラベルを確認し、栄養バランスや原材料の質に注目しましょう。
Q:ヒューマングレードって何ですか?
A:人間が食べられるレベルの原材料を使用しているという意味ですが、法的に定義された用語ではありません。表記だけで判断せず、信頼できるメーカーかどうかを確認することが大切です。
Q:手作り食は良いですか?
A:手作り食にもメリットはありますが、栄養バランスが偏りやすい傾向があります。実施を検討している場合は、獣医師の指導のもとで行うことをおすすめします。
Q:食いつきが悪いときはどうすれば?
A:フードを温める、少量のウェットフードを混ぜるなどの工夫が効果的です。それでも食べない場合は、病気が隠れていることもあるため、早めにご相談ください。
まとめ
愛犬・愛猫の健康は、日々の「食」から築かれていきます。数あるフードの中から最適なものを選ぶのは簡単ではありませんが、年齢や体調に合ったものを選ぶことで、より長く健やかな時間を一緒に過ごすことができます。
フード選びに迷ったときは、どうぞお気軽に当院へご相談ください。
兵庫県神戸市須磨区の『おおした動物病院』
℡:078-731-0001