愛犬・愛猫がいつまでも元気に暮らすためには、病気の早期発見が非常に重要です。

その中でも「超音波検査」は、痛みを伴わず、ペットに負担をかけることなく体内の状態を詳細に調べることができるため、非常に有用な検査方法です。

「最近元気がない気がする…」「急に食欲が落ちた…」という気になる様子が見られる場合、超音波検査を受けることで、思わぬ病気の早期発見に繋がるかもしれません。

この記事では、超音波検査でわかることや検査の特徴・メリット、特に心臓の病気やお腹のトラブルの早期発見にどのように役立つかをわかりやすく解説します。

超音波検査とは

超音波検査は、超音波を利用して体内の様子をリアルタイムで映像化する検査方法です。放射線を使用しないため安全性が高く、非侵襲的であることからペットへの負担も少ない点が特徴です。

動物は不調を言葉で伝えることができないため、このような検査は健康状態の確認において重要な役割を果たします。

超音波検査の特徴

痛みや負担が少ない
超音波検査では、軽く体にプローブを当てるだけで検査が行えます。そのため、ペットが検査中に痛みを感じることはほぼなく、ストレスも最小限に抑えられます。

リアルタイムでの観察が可能
臓器の動きや血流をリアルタイムで観察できるため、心臓の動きや血流の異常を瞬時に確認することができます。

詳細な内部観察が可能
レントゲンでは骨や臓器の「輪郭」を確認できますが、超音波検査は臓器内部の構造変化や血流の状態を詳細に評価できます。

心臓の超音波検査でわかること

犬や猫の心臓病は、初期症状がわかりにくいものが多いですが、心臓超音波検査を行うことで早期発見しやすくなります。

〈主な観察ポイント〉
・心臓が正常に収縮しているか確認します。
・僧帽弁や三尖弁の開閉の正常性や、不完全閉鎖がないかを調べます。
・血液の流れの方向や速度を観察し、血流異常を診断します。

〈心臓病の早期発見の重要性〉
僧帽弁閉鎖不全症などの病気は、小型犬に多く見られ、初期には症状が現れにくいことがあります。心臓超音波検査を定期的に行うことで、病気の早期発見が可能になり、進行を遅らせることができます。
僧帽弁閉鎖不全症についてはこちらをご覧ください

腹部の超音波検査でわかること

腹部の超音波検査では、肝臓・腎臓・脾臓・膵臓・胃・腸・膀胱など、多くの臓器の状態を観察できます。

〈主な病変や状態〉
肝臓・腎臓・膵臓の状態
臓器の形や大きさ、内部の異常(腫瘍や結石など)を確認します。

結石や膀胱炎などの尿路トラブル
結石の存在や尿路系の炎症を視覚的にチェックできます。

消化器系の異常(腸閉塞など)
犬や猫が異物を飲み込んだ場合や、嘔吐、下痢が続く場合に原因を探る上で役立ちます。

妊娠診断
胎児の数や状態を確認し、出産に向けた準備を行うことができます。

検査の流れと事前準備

〈検査前の準備〉
腹部検査の場合、胃や腸の内容物が観察を妨げるため、検査の6〜12時間前から絶食が必要です。

〈検査時の流れ〉
ペットを仰向けや横向きにして臓器の状態をさまざまな角度から観察します。通常20〜40分程度で終了します。

超音波検査が推奨される状況

・定期健康診断
シニア期や病気リスクの高い犬種・猫種では、年1回以上の検査を推奨します。

・症状が見られる場合
以下の症状が見られた際には、診断目的で超音波検査を行うことが効果的です。

嘔吐や下痢が続く
食欲不振
腹部の腫れや触った際の嫌がる反応
異常な体重減少

まとめ

超音波検査は、ペットの健康維持に欠かせない重要な検査方法です。体への負担が少なく、安全で精度の高いこの検査を活用することで、病気の早期発見と治療計画の立案が可能になります。

愛犬・愛猫の健康を守るため、定期的な健康診断や気になる症状が現れた際には、ぜひ超音波検査をご検討ください。

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