「最近、おしっこの量が増えた気がする…」
「何度もトイレに行っているけれど、少ししか出ていない?」
「おしっこの色が、いつもと違って濃い気がする」
愛犬や愛猫と暮らしていると、毎日のトイレの様子から、このような「おしっこの違和感」に気づくことはありませんか?
しかし、本人が元気そうにしていたり、ご飯をよく食べていたりすると「少し様子を見てもいいかな」と思ってしまう飼い主様も多いのではないでしょうか。
実は、おしっこの変化は、腎臓や膀胱といった泌尿器のトラブルだけでなく「体の内側の異常」をいち早く教えてくれるSOSのサインです。一見元気そうに見えても、水面下で病気が進行しているケースは少なくありません。
今回は、犬猫の尿トラブルで特に気をつけたい症状と、尿検査でどんなことが分かるのかについて紹介します。

尿の変化はなぜ大事?体の中の異常が表れやすい理由
おしっこは、体の中で不要になった老廃物や余分な水分を外へ出すためにつくられます。この働きには、尿をつくる「腎臓」、尿をためる「膀胱」、尿の通り道である「尿道」が深く関わっています。
さらに、尿の量や濃さは、水分バランスをコントロールするホルモンなどとも密接に関係しています。そのため、おしっこの変化は泌尿器の病気だけでなく「体全体の状態」を知るための重要な手がかりになるのです。
また、犬や猫は、体の不調を言葉で伝えることができません。病気の初期段階では、元気や食欲に大きな変化が出ないこともよくあります。
だからこそ「うちの子のいつものトイレの様子」を知っておくことが何より大切です。
尿検査で何がわかる?見た目ではわからない異常を確認する検査
尿検査では、おしっこに含まれるさまざまな成分を細かく分析します。
飼い主様の目には「いつも通りの普通のおしっこ」に見えても、検査をすると異常が見つかることがあります。
尿検査で確認する主な項目には、次のようなものがあります。
・尿の濃さ(尿比重)
腎臓が正常におしっこを濃縮できているかを調べます。薄すぎる場合は慢性腎臓病の初期やホルモンの病気、逆に濃すぎる場合は脱水などが疑われます。
・尿タンパク
健康であればおしっこに出ないはずのタンパク質が漏れ出ていないかを確認します。慢性腎臓病の初期段階や、尿路の炎症などで数値が高くなります。
・尿糖
おしっこの中に糖が含まれていないかを調べます。血糖値が異常に高くなる「糖尿病」の診断や健康状態の把握に欠かせない項目です。
・潜血・炎症反応
目で見ても分からない微量な血液や、炎症を示す白血球が混ざっていないかを調べます。膀胱炎や尿石症、あるいは腫瘍などの早期発見につながります。
・細菌や結晶
顕微鏡を使って、おしっこの中に細菌や、結石の元となる「結晶」が出ていないかを直接観察します。特に犬や猫に多い尿石症の予防や、治療方針を決めるためにとても重要な項目です。
このように、尿検査は「見た目は普通」の裏に隠れた、体のSOSをキャッチするために欠かせない検査です。
血液検査だけでは足りない?「尿検査」をあわせて行うべき理由
「健康診断で血液検査をしているから大丈夫」と思っていませんか?実は、血液検査と尿検査はそれぞれ役割が異なります。
血液検査は、全身の臓器の状態や炎症を数値化するのに優れています。しかし「慢性腎臓病」に関しては、血液検査の数値(CREやBUNなど)に明らかな異常が出る頃には、すでに腎臓の機能の半分以上が失われているケースが少なくありません。
一方、尿検査は、血液検査の数値が変わる前の「ごく初期の腎機能の低下」や「微量なタンパク尿」をいち早く拾い上げることができます。つまり、病気の早期発見において、尿検査は血液検査よりも一歩早く異変を察知できるのです。
血液検査と尿検査をあわせて行うことで、初めて愛犬・愛猫の正確な健康状態を評価できるようになります。
とはいえ「おしっこの検査だけのために病院へ行くのは、うちの子のストレスになるかも…」と心配な飼い主様もいらっしゃるかと思います。
そこで当院では、春のフィラリア検査など「もともと病院へ行く予定があるタイミング」に合わせて、おしっこも一緒に持ってきていただくことをおすすめしています。いつもの予防の機会をいかして、大切なご家族の健康をより深く守ってあげましょう。
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こんなときは早めに相談を|尿検査を考えたいサイン
愛犬・愛猫に次のような様子がある場合は、様子を見ずに尿検査を含めた診察をおすすめします。
・おしっこの量が増えた
・水を飲む量が増えた
・トイレの回数が増えた
・少量ずつ何度もする
・血尿がある
・尿の色やにおいがいつもと違う
・排尿時に痛そうにする
・陰部をよくなめる
・おしっこが出づらそう
・半日以上ほとんど出ていない
特に「何度もトイレに行っておしっこをしようとしているのに、全く出ていない」という状態は、非常に危険です。
おしっこの通り道(尿道)が結晶や結石で詰まってしまう「尿道閉塞」を起こしている可能性があり、完全に詰まると、わずか数日で体内に老廃物が回る「尿毒症」を引き起こし、命に関わります。
「明日まで様子を見よう」は絶対に禁物です。
このような異変に気づいた場合は、夜間であっても一刻も早く動物病院を受診してください。
当院が「尿検査」を何よりも大切にしている理由
当院では、「病気になる前、あるいはごく初期の段階で早く見つける」という予防医療を大切にしています。だからこそ、ペットに痛い思いをさせることなく、多くの情報を教えてくれる「尿検査」を非常に重視しています。
当院の院長は「日本獣医腎泌尿器学会 認定医」の資格を保有しており、腎臓や膀胱といった泌尿器疾患の診療に力を入れています。
「これくらいで相談していいのかな」と迷うような、ちょっとした違和感でも構いません。大切なご家族のおしっこで気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
まとめ
おしっこの変化は、言葉を話せない愛犬・愛猫からの「体の中のSOS」を知る大切な手がかりです。尿検査を行うことで、見た目だけでは分からない隠れた異常を、ごく初期の段階で見つけることができます。
日頃から「いつもの量・回数・色・出方」をよく観察しておき、少しでも気になる違和感があれば、様子を見ずに早めに動物病院へ相談しましょう。
「まだ病気か分からないけれど、ちょっと心配」という段階での尿検査やご相談も大歓迎です。
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